残り5試合でフィッカデンティ監督の電撃解任に踏み切った鳥栖は11日も公開練習を行った。約2カ月ぶりの公開となった前日に続く公開。自動降格圏の17位に苦しむ状況下での突然の解任劇となったが、選手たちは動揺をみせず、変化を極力ポジティブに捉えるように、意欲的にトレーニングに取り組んだ。

 金明輝コーチが監督業の代行を行う体制になって3日。選手たちが「トレーニング内容も変化して楽しい」と口にする通り、厳しい練習の中にも、時折、笑い声や明るい声が響く。練習中に話したり、笑顔を見せることを嫌ったマッシモ体制からの大きな変化だ。

 さらにゲーム形式練習で、全選手にプレーの時間とチャンスが与えられるようになったことも、出場機会に恵まれなかった選手たちに大きなモチベーションを与えている。特に守備がベースとなる戦術において、なかなか出番のなかった攻撃的ポジションの選手たちは、残留に不可欠な勝ち点3を奪うために金コーチが「得点を取らないと勝てない。攻撃に関わる人数を増やす」と、基本を変えない上でのより攻撃的なサッカーを明言したことで、勢いづいた。体制の変化で生まれたこのパワーは、チームにいい影響と雰囲気をもたらしている。

 低迷するチームにとって確かにカンフル剤となった今回の監督解任劇。だが、伝統的な守備を誇るイタリア人指揮官ならではの、高度な守備哲学、理論は否定のしようがなく、選手の一人は「守備が自分の弱点だったので、スキルを学べたのはありがたかった」と感謝を隠さない。指揮官がクラブにもたらした功績は、とてつもなく大きかったといえる。

 だからこそ「1人1人の責任。申し訳なく思う」と、選手たちも痛みを感じ、全員が「とにかくやるしかない」と強く感じている。FW豊田は「それぞれがやることをしっかりやって、しんどいからと妥協せずに、選択肢が2つあったらきついほうを選んでいくようにしないといけない」。長年クラブを支えてきたカリスマ的存在として決意をにじませた。

 DF高橋秀が「今はクラブのためにやることが大事。今までこのクラブに携わってきた人たち、プレーしてきた人たちが残してくれたものを大事に、同じ気持ちを背負って戦っていきたい」と覚悟をにじませるように、残り5試合の戦いがクラブの歴史と未来を左右する。「絶対に残留」という同じ目標に向かって、チーム一丸で突き進んでいく。


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