千葉県を代表する強豪校、流通経大柏の本田裕一郎監督は、Jユース(Jクラブの下部組織)の強化が必要だと唱える。同校を率いて07年度に全国高校選手権で全国初優勝、昨年度も全国総体優勝、選手権準優勝。長く高校サッカーの最前線で活躍する名将は、高校とJユースが対等に戦えているこの年代の現状に警鐘を鳴らした。

 「180度変えなきゃダメ」。本田監督は開口一番、そうぼやいた。Jユースと高校の強豪校に有望選手が分散する現状に対する問題提起。語気は強かった。

 「中途半端だよね。長い間、何となくで流れを変えられないでやっている。高校とクラブがいい勝負をしてというのは何なのと思う。それなら意味がない。(Jクラブは)プロの選手にもっと投資した方がいい」

 75年に市原緑の監督に就任したのをはじめ、千葉県内の習志野、流通経大柏と40年以上にわたって高校の現場にいる。97年には高校年代のリーグ戦の必要性を唱え、暁星(東京)の林義規監督らと現在の高円宮杯U-18プレミアリーグの原点となる関東スーパーリーグを設立。定期的に海外へも足を運び、世界の育成を学ぶなど情熱は尽きない。

 「プロになりたい人はプロ(のユース)に行かないといけない。残念なのは、なぜ選択肢に高校のチームがあるのか。まだまだプロってそんなに甘いんだよってこと」

 その中で目指すべき形として主張するのは、育成年代へのさらなる投資と海外の育成法の導入だ。

 「世界ではA代表レベルだとテクニックとフィジカルはもう最高点まできているという。あとはメンタルと戦術。だから、本当は高校年代から戦術をやらないといけない。レアルやバルサは育成の段階からそれをつなげて(トップチームに)上げている。ドイツのライプチヒは育成年代に莫大(ばくだい)なお金を使う。そしてトップに上げて、その何倍ものお金で選手を売る。イングランドは育成年代のスカウティングの目を広げて年代別代表で成功した。日本も最近はバルサ出身の久保建英やレアルの下部組織の中井卓大という選手が出てきた。でも、海外のクラブだよね。同じ日本人だよ。じゃあ日本で久保、中井が育てられたのかというと育てられない。そこはよく考えた方がいい」

 課題は山積みだ。

 「指導者の育成も大事。S級ライセンスも、何かの大会で優勝したり語学ができないと取れないとか厳しくしないと。日本の場合は悪くいえば教育が邪魔をしている部分もある。全体を育てるという意味では世界一のシステム。でも個を育てる意味ではいいシステムではない。サッカーでは個を育てることも大事」

 経験からくる言葉が次々とあふれ出た。日本を支える人材の供給源となる高校年代を強くしたいという意欲は尽きない。「日本はまだJリーグが開幕して25年。簡単に歴史の差は埋められない。でも、前により速く進めるような取り組みは必要。変えていこうとしないと、いくら時間がたってもダメだよね」。


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