国内組の体脂肪率オーバーを警告。手に持った紙があらわになり、宇佐美の14・1%、興梠の16・4%、太田の15・2%など、およそアスリートとは思えない数値が露呈した。公表する意図はなく、直後に謝罪したが、図らずも判明したのは国内組の意識の低さ。基準は、15年12月に候補選手を集め最後通告した「12%以内」だった。

 海外組はほぼ、最初から基準値12%以下だったが、基準値オーバーが国内組という傾向は、何度言っても、ずっと変わらなかった。合宿のたび計測したが、警告を受けるのはほぼ国内組。リーグのレベル、環境の差は個人ではいかんともしがたいが、体脂肪率は意識ひとつで変えられる。日本代表入りに直結するなら、なおさら。にもかかわらず、国内組の体脂肪率の傾向は変わらなかった。

 W杯の組み合わせ抽選も終わった17年12月。なぜ、警告から3年もたってまだ体脂肪を改善できないような選手を呼ぶのか? と聞かれると、いつになく弱々しい口調でこう答えた。

 「でも、Jリーグの選手の9割がそういう問題を抱えている。(呼ばなければ)9人でプレーすることになってしまう」

 笛吹けど踊らず-。もちろん、体脂肪率がすべてではない。ただ、ハリルホジッチ監督はある意味、不幸だった。

 約3年間、日本サッカーのため働きづめだった"ハリルの功績"は、この体脂肪率問題を広く認識させた点に加え、デュエル(球際の攻防)という単語と、その大切さを浸透させたことも挙げられる。

 そして、快勝したW杯アジア最終予選UAE戦(アウェー)の今野と川島のサプライズ起用や、W杯出場を決めた同オーストラリア戦(ホーム)で中盤に井手口、山口、長谷部を配する用兵にも、ここ一番での采配に勝負師として見るべきところはあった。

 東京・両国国技館に相撲を見に行き、その人気を体感し、野球の扱いが大きい日刊スポーツをパラパラめくり「ベースボールばかりじゃないか」とサッカーの地位向上を本気で願った。日本代表を強くし、サッカーをNO・1のスポーツにすると誓い、W杯ロシア大会の大成功後に「銀座パレード」を夢見ていたが、すべてまぼろしになった。

 選手とのコミュニケーションなど、問題は多々あれど"遺産"として評価すべき点はある。いつも上から目線だったが、皮肉なことに、クビを切られた田嶋会長の唱える「世界基準」を事あるごとに伝え続けた監督だった。そういえば、西野新監督もこの4文字が大好きだが...。


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